北海道の東端に位置し、豊かな自然と水産業で知られる根室市。夏は涼しく、時には「ジリ」と呼ばれる海霧に包まれる一方、冬は厳しい寒さと雪、そして海からの強い風にさらされます。このような独特で厳しい気候環境は、私たちの暮らしだけでなく、大切な住まい、特に屋根や外壁にも大きな影響を与えています。
「最近、壁の色あせが気になる…」「屋根のサビは大丈夫だろうか?」そんな風に感じたことはありませんか?根室市で快適に、そして長く安心して暮らし続けるためには、この地域の気候特性を理解し、それに合わせた屋根壁のメンテナンスを行うことが非常に重要です。
この記事では、北海道根室市の気候を踏まえた屋根壁の事情から、具体的な工事の種類、日々のメンテナンスのコツまで、お住まいを長持ちさせるためのポイントを分かりやすく解説していきます。ご自宅の将来を考えるきっかけとして、ぜひ最後までお読みください。
北海道根室市の屋根壁事情

日本で最も早く朝日が昇るまち、根室市。その美しい景観の裏で、住宅は厳しい自然環境と常に隣り合わせです。ここでは、根室市ならではの屋根や壁の特徴、そして気候がもたらす影響について見ていきましょう。
地域の屋根壁の特徴
根室市を歩いていると、金属製の屋根や外壁を持つ住宅が多く目につきます。特に屋根には、軽くて丈夫、そして雪が滑り落ちやすい金属屋根(ガルバリウム鋼板など)が広く採用されています。これは、冬の積雪への対策が第一の理由です。
また、屋根の形状にも特徴があります。「無落雪屋根」や「スノーダクト方式」と呼ばれる、屋根の中央に向かって緩やかな勾配をつけ、中央のダクト(排水溝)から雪解け水を排水する方式も人気。これは、隣家への落雪トラブルを防ぎ、敷地を有効活用するための知恵なのです。
外壁には、デザイン性が高く耐久性にも優れる窯業系サイディングや金属サイディングが多く用いられています。これらは、厳しい寒さや風雪から家を守るための、いわば家の「鎧」の役割を果たしていると言えるでしょう。
気候による影響と対策
根室市の気候は、住宅にとって非常に過酷です。特に注意すべきは「凍害」「塩害」「すが漏れ」の3つです。
凍害(とうがい)
冬の厳しい冷え込みにより、外壁材が吸った水分が凍結と融解を繰り返すことで、素材がもろくなり、ひび割れや剥離を引き起こす現象です。特に、塗膜が劣化した外壁で起こりやすくなります。

外壁の小さなひび割れ、見逃していませんか?そこから水分が侵入し、冬の寒さで凍害につながることがあるんです。
対策としては、防水性の高い塗料で定期的に塗り替えを行い、外壁材に水分を吸収させないことが重要です。
塩害(えんがい)
海に面した根室市では、潮風に乗って運ばれてくる塩分が、金属製の屋根や外壁、シャッターなどを錆びさせ、劣化を早めます。錆は見た目が悪いだけでなく、進行すると穴が開いて雨漏りの原因にもなります。
これには、塩害に強い塗料を選んだり、定期的に外壁を水で洗い流したりすることが有効な対策となります。
すが漏れ
これは雪国特有の現象です。屋根に積もった雪が室内の熱で溶け、軒先で再び凍って「つらら」や「氷の塊」になります。この氷がダムのようになり、行き場を失った雪解け水が屋根材の隙間から室内に侵入してしまうのが「すが漏れ」です。
すが漏れは、単なる雨漏りと違い、建物の構造部分を濡らして腐食させることもあるため、非常に厄介なトラブルです。
適切な屋根断熱や、スノーダクトの定期的な点検・清掃が予防につながります。
地域特有の屋根壁事情
根室市では、夏場に発生する「ジリ」と呼ばれる濃い海霧も住宅に影響を与えます。常に湿気が多い状態は、外壁にカビやコケが発生しやすくなる原因の一つ。日当たりの悪い北側の壁などは特に注意が必要です。
カビやコケは、見た目の問題だけでなく、塗膜を劣化させたり、外壁材そのものの寿命を縮めたりすることもあります。防カビ・防藻性能のある塗料を選ぶことが、美しい外観を保つ秘訣です。
根室市で家を長持ちさせるには、冬の「凍害」「雪」、そして海からの「塩害」、夏の「湿気」という、この地域ならではの自然環境を理解し、適切な対策を施すことが不可欠なのです。
北海道根室市の屋根壁工事事情


お住まいの劣化が進んできたとき、考えなければならないのが屋根や壁の工事です。ここでは、根室市で一般的に行われる工事の種類や、工事を進める上での注意点について解説します。
屋根壁工事の種類と特徴
屋根壁の工事には、大きく分けて「塗装」「カバー工法」「張り替え(葺き替え)」の3つの方法があります。どの方法が適しているかは、現在の屋根や壁の状態によって異なります。
屋根工事
- 塗装:屋根材の表面を塗料で保護する方法。比較的軽微な劣化(色あせ、小さなサビなど)に対応。定期的に行うことで、屋根材本体を長持ちさせます。
- カバー工法(重ね葺き):既存の屋根材の上に、新しい軽量な金属屋根などを重ねて葺く方法。解体費用や手間がかからず、工期が短いのが特徴。断熱性や遮音性が向上するメリットもあります。
- 葺き替え:既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に交換する方法。下地の傷みが激しい場合に選択されます。費用や工期はかかりますが、屋根の根本的な問題を解決できます。
外壁工事
- 塗装:外壁の美観を回復し、防水機能を蘇らせます。根室市では、防水性や耐久性に加え、塩害に強い、あるいは凍害に強いといった機能性塗料を選ぶことが重要です。
- カバー工法(重ね張り):既存の外壁の上に、新しいサイディングなどを張る工法。外観が一新されるだけでなく、断熱性能が向上し、冬の寒さ対策にもつながります。
- 張り替え:既存の外壁を撤去し、新しい外壁材に交換します。外壁内部の防水シートや断熱材も新しくできるため、住宅の性能を大きく向上させることができます。



どの工事が良いか迷いますよね。まずは専門家に見てもらい、お家の状態に合った最適な方法を提案してもらうのが一番です。
工事の流れと注意点
屋根壁の工事は、一般的に以下のような流れで進みます。
- 現地調査・相談:専門家が自宅を訪問し、屋根や壁の状態を詳細にチェックします。
- 提案・見積もり:調査結果をもとに、最適な工事内容と見積もりが提示されます。
- 契約:工事内容や金額、工期などを確認し、契約を結びます。
- 近隣への挨拶:工事中は騒音や車両の出入りがあるため、事前に近隣住民へ挨拶を行います。
- 足場の設置:安全かつ効率的に作業を進めるために足場を組みます。
- 施工:(高圧洗浄→下地処理→塗装・張り替えなど)
- 検査・完了:施工箇所の最終チェックを行い、問題がなければ足場を解体し、引き渡しとなります。
地域特有の工事情報
根室市での工事を考える際、地域の気候を熟知した業者に相談することが成功の鍵となります。「どの時期に工事するのがベストか」「この地域特有の塩害や凍害に強い材料はどれか」といった、地域に根差した知識と経験は非常に価値があります。
例えば、同じ塗料でも、根室の気候で十分な性能を発揮できるものとそうでないものがあります。実績のある地元の専門家は、そうした知見を持っていることが多いでしょう。
工事を検討する際は、複数の業者から話を聞き、提案内容や説明の分かりやすさを比較検討することが大切です。焦らず、じっくりと信頼できるパートナーを見つけましょう。
北海道根室市での屋根壁メンテナンス事情


大きな工事をしなくても、日々のちょっとした気遣いや定期的な点検が、お住まいの寿命を大きく延ばします。ここでは、根室市の厳しい環境から家を守るためのメンテナンスの重要性についてお話しします。
定期的なメンテナンスの重要性
「まだ大丈夫だろう」とメンテナンスを先延ばしにすると、どうなるでしょうか。最初は小さなひび割れやサビでも、放置すればそこから雨水が侵入します。そして、見えない壁の内側や屋根裏で、柱や梁といった大切な構造部分が腐食してしまう恐れがあるのです。
そうなると、修理は屋根や壁だけでなく、構造部分にまで及び、大規模で高額な工事が必要になってしまいます。定期的なメンテナンスは、将来の大きな出費を防ぐための「投資」と考えることができます。家も人の体と同じで、早期発見・早期治療が何よりも大切なのです。
点検のポイントと頻度
では、具体的にどこを、どのくらいの頻度でチェックすれば良いのでしょうか。専門家でなくても確認できるポイントはたくさんあります。
ご自身でできるチェックリスト
- 外壁:
- □ 壁を手で触ってみて、白い粉がつかないか?(チョーキング現象)
- □ ひび割れ(クラック)や塗装の剥がれはないか?
- □ カビやコケが生えていないか?(特に北側や日陰)
- □ 窓枠やサイディングの継ぎ目のゴム(シーリング)が痩せたり、ひび割れたりしていないか?
- 屋根・軒天:
- □ (地上から見える範囲で)色あせやサビはないか?
- □ コケが生えていないか?
- □ 軒天(屋根の裏側)にシミができていないか?
- □ 雨樋にゴミや落ち葉が詰まっていないか?
屋根の上の点検は大変危険です。ご自身で屋根に登ることは絶対にやめましょう。高所の確認は、信頼できる専門業者に依頼してください。
地域の気候に適した対策
根室市の気候に合わせた、日々のメンテナンスのコツをご紹介します。
塩害対策:
潮風が強い日があった後は、ホースで水をかけるなどして外壁についた塩分を洗い流すだけでも効果があります。ただし、高圧洗浄機をむやみに使うと、外壁やシーリングを傷める可能性があるので注意が必要です。
すが漏れ対策:
冬本番の前に、雨樋やスノーダクトに落ち葉やゴミが詰まっていないか確認し、清掃しておきましょう。水の流れをスムーズにしておくことが、すが漏れの予防につながります。
凍害対策:
外壁の小さなひび割れを見つけたら、早めに補修することが大切です。冬が来る前に補修しておくことで、ひび割れが大きくなるのを防げます。



全部自分でやるのは大変…!まずはできる範囲から始めて、気になる点があればプロに相談するのが賢い選択ですよ。
最近の根室市のニュースといえば、ロシア水域でのサケ・マス漁の試験操業船が無事帰港したという明るい話題がありました。漁業が盛んな根室の活気が感じられますね。また、人気アイドルグループ「22/7」の河瀬詩さんが一日警察署長と駅長をダブルで務めるというイベントもあり、地域が賑わいを見せています。
このような活気あふれる根室市で、これからも安心して快適に暮らし続けるためには、地域の基盤である一つ一つのお住まいの健全性が欠かせません。そこで最後に、屋根壁管理の総まとめとして、日々の暮らしの中で意識したいポイントをお伝えします。
北海道根室市での屋根壁管理のために
日常的なチェックポイント
難しく考える必要はありません。普段の生活の中で、少しだけお住まいに目を向けてみましょう。
- 散歩のついでに:家をぐるりと一周し、壁に変化がないか見てみる。
- 窓掃除のついでに:窓枠周りのシーリングの状態をチェックする。
- 雨の日に:雨水の流れ方や、雨樋から水が溢れていないか確認する。
- 雨上がりに:軒天にシミができていないか見上げてみる。
こうした「ついでチェック」を習慣にすることが、劣化のサインを早期に発見する第一歩です。
専門業者への相談タイミング
「これって大丈夫かな?」と少しでも不安に感じたら、それが相談のタイミングです。以下のようなサインが見られたら、一度専門家に見てもらうことをお勧めします。
【専門家への相談を検討すべきサイン】
・外壁のひび割れが、名刺の厚みより太い
・外壁のサイディングが反ったり、浮いたりしている
・室内に雨漏りやシミがある
・(地上から見て)屋根が明らかに錆びている、または剥がれている
・前回のメンテナンスから10年以上経過している
自己判断で放置してしまうのが一番危険です。プロの視点で点検してもらうことで、的確なアドバイスがもらえ、安心につながります。
長持ちさせるためのコツ
お住まいを根室の厳しい環境から守り、長持ちさせるためのコツは、これまでお話ししてきたことの積み重ねにあります。
- 我が家を気にかける(定期的なセルフチェック)
- 異常があれば早めに相談する(早期発見・早期対応)
- 地域の気候を理解したメンテナンス計画を立てる
この3つを心掛けるだけで、屋根や壁の状態は大きく変わってきます。豊かな自然と共に生きる根室市での暮らしを、より安全で快適なものにするために、ぜひ今日から、ご自宅の屋根と壁に関心を持ってみてください。